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CCUS用ポンプ市場が2032年へ拡大、圧送の心臓部が勝敗を分ける

CCUS用ポンプ市場が2032年へ拡大、圧送の心臓部が勝敗を分けるのイメージ

ニュースの概要

Newscast.jpは、炭素回収・利用・貯留(CCUS)向けポンプの世界市場について、2026年から2032年を対象とする市場規模と分析のレポートが発表されたと伝えた。製品は遠心ポンプ、往復動ポンプ、その他に分けて整理されている。CCUSは回収、輸送、貯留の三段階で成り立つが、このレポートは地味ながら欠かせない圧送機器に光を当てた形だ。CO2を液体に近い状態で長距離へ送り、地下へ押し込むには、専用の高圧ポンプが不可欠になる。回収装置や貯留地ばかりが話題になる中で、周辺機器の市場規模が定量的に示された点に意味がある。

引用元: 炭素回収・利用・貯留(CCUS)用ポンプの世界市場(2026年~2032年)、市場規模(遠心ポンプ、往復動ポンプ、その他)・分析レポートを発表(Newscast.jp)

分析・見解

回収装置の陰で進む、圧送機器への需要集中

CCUSの議論は、CO2を回収する塔や、地下の貯留層に集まりがちである。しかし実際の現場では、回収したCO2を運び、押し込む工程にこそ機械の負荷が集中する。ここで働くのがポンプである。

CO2は常温常圧では気体だが、高い圧力をかけると超臨界状態(=液体と気体の中間の性質を持つ状態)になる。この状態で送ると、少ない配管で大量に運べる。ただし圧力は、地下貯留では100気圧を超える水準が求められる。ポンプはその圧力を作り出す設備であり、プロジェクト全体の電力消費にも直結する。

遠心と往復動、二つの方式が担う役割の違い

レポートが主役に据える遠心ポンプは、羽根車を回して流体を押し出す方式である。流量が大きく、構造が単純で、保守もしやすい。パイプラインで大量のCO2を送る用途に向く。

一方、往復動ポンプはピストンで流体を押し出す方式だ。流量は小さいが、非常に高い圧力を安定して出せる。地下の貯留層へ最後の一押しをする井戸元の用途で強みを持つ。つまり、二つは競合というより、輸送の途中と終点で役割を分け合う関係に近い。市場予測を見るときは、どちらが伸びるかよりも、プロジェクトの構成比がどう変わるかを見る方が実態に近い。

CO2特有の難しさが、機器単価を押し上げる

CO2は水とは違い、圧力が下がると急に相が変わる。ポンプ内部で局所的に気化すると、泡の発生と崩壊で羽根車が傷む。これがキャビテーションと呼ばれる現象である。また、水分を含むと炭酸が生じて金属を腐食させる。

このため、材料は耐食性の高いステンレス鋼や特殊合金が選ばれ、軸封(=回転軸からの漏れを防ぐ部分)にも高い精度が求められる。石油・ガス用ポンプの技術が土台にはなるが、そのまま流用できるわけではない。結果として機器単価は高く、実績のあるメーカーが有利になりやすい。

市場予測を読むときに外せない二つの前提

一つ目は、CCUS市場そのものが政策に強く依存する点である。米国の税額控除(45Q)や、欧州の排出量取引の価格水準によって、案件の採算は大きく揺れる。ポンプ需要はその後を追って動く。

二つ目は、案件の遅延リスクである。CCUSの大型計画は、許認可や貯留地の確保で数年単位ずれ込む例が少なくない。市場予測は右肩上がりに描かれがちだが、実際の発注は山と谷を伴う。数字は方向感として受け止め、個別案件の進捗と併せて判断するのが現実的である。

ビジネスへの影響

設備メーカーと商社が今から備えるべきこと

ポンプ関連のメーカーや商社にとって、CCUSは新規の販路になり得る。ただし、石油化学向けの既存品を並べるだけでは足りない。CO2専用の仕様、すなわち耐食材料、軸封、キャビテーション対策の実証データが、受注の決め手になる。

まずは小規模な実証プラントへの納入実績を作ることが近道である。実績は次の大型案件の入札で、価格以上に効く。国内ではJOGMECが支援する先進的CCS事業が複数進んでおり、こうした案件に関わる元請けとの関係づくりが重要になる。

排出企業が設備投資を判断するときの視点

CO2を出す側の企業にとっては、ポンプは電力コストの源でもある。圧縮や昇圧に使うエネルギーは、回収プロセス全体の運転費の中で無視できない比率を占める。機器の初期価格だけで選ぶと、運転費で逆転されやすい。

見積もりを取る際は、年間の消費電力、保守周期、交換部品の調達期間をそろえて比較したい。貯留地までの距離が長いほど、遠心ポンプ中心の構成が有利になり、短ければ往復動ポンプの比重が増す。自社の輸送距離を先に固めると、機器選定の議論が早く進む。

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